田村秀男記者のイザブログの記事「いくらドル札刷っても足りない米金融危機」はここまでズバッと書いている記事がほとんど無い状態で、非常に光っていると感じるのだが、ここらヘンまで来るとわたしにはよく分からない世界に突入しつつある、と言えます。
ポイントはココだろうか?
- 米国はこの9月一ヶ月だけで、もう一年分以上のドル札を増刷したことをご存知だろうか。
- なぜ国際的に市場ではドル資金不足が続くのか。金融商品バブルが崩壊したためで、歴史的には前代未聞である。
- 金融のグローバル化によりドル建ての金融商品が世界に出回っている。清算してドルの現金に替えなければならないが、手元にドルがない。
- ドル資金は不足しているのだから、ドルが今のところ暴落するはずはない。
- 垂れ流され続ける通貨の価値をだれが信じようか。
- 歴史的には超インフレ、通貨暴落というあまたの事例がある。
- (FRBは)この一ヶ月余りで一年分をはるかに上回るドル資金を刷っては市場に流したことになる。
田村記者は「最後の貸し手を助ける究極の貸し手が必要なのだが・・・」と結んでいます。
中国が最後の貸し手になる、黒字国の日本が引きうける、などという話は以前からあるわけだが、そもそも基軸通貨であるドルに即座に取って代わるような通貨も信用もほかにはないわけで、ドルがこれほどのむちゃをやらないだろうという前提での、ドル決済だったのだから最終的にはドルの信用を元に戻すしか無いように思う、しかしそれは可能なことなのだろうか?
わたしの理解では、通貨も手形も借金の証文も同列のものであって、結局は紙切れにどうやって信用を付けるのか?という問題に帰着する。
個人よりも企業、企業よりも国がより信用できる、多くの国々の中でもアメリカは一番信用できる、だからドルを信用する。というのは非常に分かりやすい。
そのアメリカの信用が怪しいとなると、国際金融市場そのものが「何を信用すればよいのか分からなくなる」事になると思う。
もちろん、普通の企業においても、少額決済なら信用問題がほとんど出ないのと同じで、貿易が止まるなんてことにはならないだろうが、国際共同開発といったものについては「何で保証するのか?」という問題が出てくるだろうし、そもそも問題が出てくるようだと国際プロジェクトのようなものは真っ先に止まってしまうだろう。
旧来のブロック経済のようなことをやっても、どの国にとってもメリットが無いだろうから、取りあえずは個別の貿易の手間が激増するような事になる気がする。
どうやって担保設定をすれば良いのか?が分からないことになるから、国際間でも借り手には恐ろしく過酷な時代になるのか?
もちろん、日本は国際金融収支も利子・配当も、現物輸出も黒字の国であるはずだが、買い手の国が買えないのでは輸出国にも大変な時代が来る。
アメリカの実体経済が、他国を圧倒して巨大なのは全く変化が無いわけだから、水ぶくれになってるドルを身の丈に合わせれば良いはずなのだが、それを普通はインフレという。
第一次大戦後のドイツや日本の終戦直後のインフレは、極端な物不足であってモノの価値と通貨の価値を比較した場合、モノの方が優位であったから通貨の価値が低くなったインフレであった。と理解している。
しかし、今回のアメリカのドル過剰問題は、実物経済を上回ってドルを供給したからであって、いわゆるバブル修正の過程で生じたインフレと同様になるのだろうか?
その意味では、日本の土地バブルの時代に、土地に多額の資金を貼(は)り付けたのと同じ事を、世界中で行ってしまったわけで、なんとかしてファンドなどからドルを取り戻して減らしてしまうことでドルの価値を正常に近づけようとするのが、原理的に正しい経済運営だとは思う。
しかし、日本でも土地バブルをいまだに完治したとは言いがたいわけで、アメリカをもってしても今回の状態はすぐに修正できる事なのだろうか?
今回の騒動は、確かにアメリカのファンドなどが世界規模でバブルを作っていたのは間違えないが、それにのった政治がレーガノミックスであり金融ビッグバンであったのだろう。
金融の自由化そのものは正しいとは思うが、金融はどこまで行っても実物経済とは両輪の関係だろう。
それを「時価総額評価」を重視するとはどういうことか?当然、実物経済である開発などを、おろそかにし、あるいは全くのデタラメで株価だけ持ち上げても時価総額重視ではそれでも良いとなってしまう。
現実の生産にかかわる点を見極めるのが、株式市場であったはずなのに、いわゆるバブル企業は何をやっているか分からないけど、上場企業になっていたなんてことがあった。
そのようなまさにバブルの状態は長続きしないということの証明が今回の騒動そのものであり、レーガノミックス以来の金が金を回して稼げばよいという手法が無理であった、としないとドルを身の丈に合わせることができないのではないだろうか?
by 池田証志
池田証志記者とお話ししました…